電子帳簿保存法の改正(2022年1月施行)に対応するための機能が、2023年7月18日リリース版のTPiCS-X 5.0で追加されました。
(令和5年4月時点で公開されている電子帳簿保存法の要件に従った機能です。)
帳簿保存とは
企業の資産の動きや取引内容を記した帳簿や書類は、税務調査において、納税申告が正しく行われているかどうかを確認するために使用されます。このため、国税庁の定めた帳簿や書類は一定期間保存することが義務付けられています。
また、企業の経営状況を確認する用途でも使用されることがあります。
電子帳簿保存法の概要
国税関係の帳簿・書類の保存に関して、電子データを紙の原本と同等に扱えるようにすることで、保存のための負担を軽減することを目的とした法律です。
・定められた要件を満たせば、これまで紙で保存していた帳簿や書類について、電子データで保存することを認める
・メール等を介して電子的に授受した取引情報についてはデータで保存することを義務付ける
ということが定められています。
電子取引に関するデータの保存については2023年12月に猶予期間が終了し、2024年1月から完全義務化となります。
三つの保存区分とTPiCSでの対応範囲
※いずれにおいても、自社から発行する書類に限定します。
①電子帳簿保存(ソフト等で作成した書類を電子データのまま保存してもよい) |
→ TPiCSでは注文書、外注加工依頼書、見積書、納品書、請求書の[印刷]が該当します。 |
②スキャナ保存(紙で受領または作成した書類をスキャンして画像データで保存してもよい) |
→TPiCSの機能外 |
③電子取引データ保存(電子的に授受した取引情報はデータで保存することを義務付ける) |
→TPiCSでは、注文書、請求書の[メール送信]が該当します。 |
TPiCSではいずれも、印刷/メール送信時のPDFファイルの作成機能をベースに対応します。
(PDFファイルの特性上、内容の改ざんがしにくいことや、書類の見た目通りの状態をそのまま復元できることから)
システムに求められる要件とTPiCSの対応
【要件1】
保存データの記載事項の訂正があったとき、その内容を確認できる、または訂正できないシステムを使用する
【対応】
TPiCSから紙またはメールで発行された書類のPDF保存機能を追加
→内容を直接訂正できないPDFの形式で保存を行うことにより対応します。
計画明細データなど元データの変更があった場合、変更伝票の印刷により変更内容もPDFで保存されます。
【要件2】
保存したデータを取引年月日・取引先毎に提示できる
【対応】
PDFの保存先フォルダやファイル名を指定する設定を追加
→設定には任意の項目の値を指定することができます。これにより、保存したPDFを日付や取引先毎に提示することが可能になります。
実装機能
1.請求書のメール送信機能を実装
2.メール送信された請求書を、専用フォルダーにPDFで保存する機能を実装
3.請求書PDFの保存先フォルダー、PDFファイル名の設定追加
「請求書の電子帳簿保存法用PDFファイル名」
設定例…{#yyyyMM#}\SKYU_{#yyyyMMdd#}_{%CUSTNAME%}.pdf
・{%フィールド名%}…該当データのフィールドの値に置換えます。
・{#日付記号#}…本日の日時に置換えます。
・\の前にフォルダ名を指定できます。
上記設定例で2030年4月1日に請求書をメール送信した場合、
「203004」フォルダーの中に「SKYU_20300401_(株)東京商事.pdf」のようにPDFファイルを作成します。
4.上記2、3の機能を注文書のメール送信でも同様に実装
5.印刷時にPDF保存機能を実装
注文書、外注加工依頼書、見積書、納品書、請求書
メール送信機能と同様、PDFの保存先やファイル名を指定する設定を追加します。
ユーザーが意識せずとも、印刷と同時に必要なデータの保存ができる仕組みになります。
6.(関連機能)請求書の二重印刷防止
・請求テーブルに「印刷済み(PSUMI)」項目追加
→印刷中のステータスを管理し、複数クライアントでの同時印刷を防ぎます。
・請求テーブルに「オリジナル伝票発行日(FSTDDTAE)」項目追加
→再印刷後も初回の印刷日が分かるようになります。
Ver4.1以前のバージョンでの対応方法
TPiCS-X 4.1以前のプログラムではこれらの機能は実装されません。
下記の方法で書類をデータ保存していただくか、Ver5.0へのバージョンアップをご検討ください。
・注文書、外注加工依頼書、見積書、納品書、請求書の[印刷]
→印刷した書面をスキャンし、画像データとして保存してください。
あるいはPDFプリンターを用いて再発行したものを保存してください。
・注文書の[メール送信]
→送信されたPDFやCSVファイルは「送信済み添付ファイルの保存フォルダー」に格納されます。
これらのファイルを保存データとすることで対応可能です。
後からファイルの検索ができるよう発注先や日付でフォルダ分けしたり、ファイル名に必要な情報を持つ形でリネームしてください。