この資料は、
TPiCSの基礎講座や研修会を受講され、基本的な操作方法やおおよその機能をご理解いただいた方に、その先の“ものづくり”の視点からアイテム構成の要点を捉えて、マスター構築のヒントにしていただくためのものです。
今近年冷凍技術が進んで長期保存が可能となってきている冷凍おせちの製造をモデルに食品に必須となっている使用期限管理と「その製品がいつ、どこで、だれによって作られたのか」を明らかにするため、履歴管理が学習出来るマスターサンプルにしました。
生産のポイント
これは、 架空の生産管理ポイントです。
- 多くの工程と多くの材料を使用
おせちには多く具材があり、それらを作る多くの工程と材料がある。
(テンプレートではすべての工程を詳細工程とせず、時間の要する工程を詳細工程に設定している)
- 冷凍のため、長期保存が可能
作った後保存が可能なので生産してから出荷するまで冷蔵のおせちに比べて期間を設けて生産できる - 材料、料理、包装類をアイテム化している(調味料は省略)
- 問題があった場合に調査できるように履歴管理をしている
- 賞味期限管理するために使用期限管理をしている(使用期限区分、使用期限日数から計算を使用)
- 各製造担当が複数の具材を日を分けて調理するようにしている
調理班別の具材ごとの納入リード日数の設定
納入リード日数を製造担当ごとに下記のように設定して早めに調理する具材は納入リード日数多めにして早めに完成させ、盛付直前に調理する具材は納入リード日数少なめにして直前に完成させるようにすることで日ごとに異なる具材を調理するようにしている
煮物調理班 | ||
・冷凍筑前煮 |
: |
盛付する当日に完成 (納入リード日数0日) |
・冷凍黒豆 |
: |
盛付する前日に完成(納入リード日数1日) |
惣菜調理班 | ||
・冷凍紅白なます |
: |
盛付する当日に完成 (納入リード日数0日) |
・冷凍栗きんとん |
: |
盛付する前日に完成(納入リード日数1日) |
・冷凍たたきごぼう |
: | 盛付する2日前に完成 (納入リード日数2日) |
魚調理班(煮物) | ||
・冷凍海老艶煮 |
: |
盛付する当日に完成 (納入リード日数0日) |
・冷凍煮蛤 |
: |
盛付する前日に完成(納入リード日数1日) |
・冷凍田作り |
: | 盛付する2日前に完成 (納入リード日数2日) |
魚調理班(焼き物) | ||
・冷凍鰤の照り焼き |
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盛付する当日に完成 (納入リード日数0日) |
・冷凍鯛の姿焼き |
: |
盛付する前日に完成(納入リード日数1日) |
魚調理班(数の子) | ||
・冷凍数の子 |
: |
盛付する当日に完成 (納入リード日数0日) |
構成イメージ
製品構成ツリー
使用しているシステム、オプション
CSVデータは、アイテム件数50件以内に抑えており、デモ版で試すことができます。
50件を超えて使用する際には以下のオプションが必要になります。
- 繰返生産システム(fMRP)
- 製造履歴管理オプション
- 払出オプション
- 工程管理オプション
冷凍おせちの生産管理を再現する操作手順
事前準備
下記の設定を変更します。
- [全レベル設定]-[計画業務]-[所要量計算]-[所要量計算関係の設定]-「新レコードを固定済みとして追加する」設定を“OFF”に変更します。
- [全レベル設定]-[生産業務]-[実績入力の設定]-[処理方法設定]-[仮実績数量の計算でロット必須のアイテムも対象にする]設定を“ON”に変更します。
- [全レベル設定]-[システム設定]で「システム日付設定」を2022年12月1日に変更します。
変更後に下記の操作を行います。
- [マスター管理]-[稼動カレンダー]フォームの[稼働カレンダー作成]ボタンから稼働カレンダーの作成
- [データ更新]-[月次・期の更新]-「生産計画テーブルのカレンダー更新」から先頭日を“2022/12/01”でカレンダー更新の実行
データの読込み
[マスター管理]-[統合マスター]から[マスターテンプレート]を開き下記の操作を行います。
- [データ読込み]ボタンを押す
- CSVファイルのパスを指定する
- [実行]ボタンを押す
データ取り込み後[マスターテンプレート]を開き下記の操作を行い[統合マスター]にデータを反映させます。
- [全データ]ボタンを押す
- [統合マスターへ追加]ボタンを押す
- [実行]ボタンを押す
統合マスターにデータ反映後[統合マスター]から下記の操作を行います。
- [マスター反映]ボタンを押す
- [実行]ボタンを押す
アイテムマスターの確認
[基本マスター]タブ
食品につき履歴管理区分の設定を行いロットトレースを行えるようにします。
[所要量計算、製番展開関係]タブ
一つの製造担当で複数の具材を日を分けて調理できるようにして、盛り付けの何日前に完成させるかを調整するために納入リード日数を設定しています。
また、調理が終わったものを冷凍庫に保管するために保管場所を“冷凍倉庫”に設定しています。
[工程管理、実績管理]タブ
調理の工程を詳細工程で管理しているので、社内で調理するアイテムに工順コードを指定しています。
[原価・換算・オプション]タブ
食品の期限管理ができるように下記のように使用期限の設定をしています
- 調理前の肉・魚 :使用期限3日
- 調理前の野菜 :使用期限7日
- 調理後に冷凍庫に保管した具材:使用期限30日
※調理後に冷凍保存をするため、調理済みの具材は使用期限を調理前よりも長めに設定しています。
生産計画の作成
下記の順で操作を行います。
- [生産計画表]の右クリックメニューから[データ管理]-[起点レコード作成]-[全レコード作成]を実行
- 「OCS」を構成ツリーから[正展開]で表示
- 12月6日に1,000の生計を入力する
- 所要量計算を実行
- 計画明細作成を実行
[詳細絞込]から製造担当「OSC_S04」で絞り込むと魚調理班(煮物)で複数の具材が日を分けて調理できるように計画が立っていることが確認できます。
実績登録
[計画明細データ手入力]から「右クリックメニュー」-[データ管理]-[印刷済へ更新(全データ)]を実行し全て印刷済に更新します。
[資材検収実績入力]から[仮数]ボタンを使用して一括で実績登録を行います。
納期が12月2日の計画が納期通りに納期通りに物が納入されたと仮定して資材の実績を一括で登録します。
①[仮数]ボタンから[仮実績数量のセット]パネルを開き日付に“22/12/02”を指定して[仮数セット]で仮数をセットします。
②[仮数]ボタンから「一括登録」で実績データの一括登録を行います。
※完了日には納期通りに納入されたため“22/12/02”を指定して登録します。
※12月5日納期の計画と12月6日納期の計画も納期通りに納入されたと仮定して同様の操作を行い実績を登録します。
[ロット別在庫一覧]から使用期限日を確認します。
[生産実績入力]からアイテムコード「OSC_TADUKURI」の工番10 のデータから実績登録を行います。
ここでは社内の調理は計画通りに完成したと仮定して、「完了日」をグリッドにある「完成予定日」と同じ日付で登録します。
実績を登録をすると[引落し元指定]パネルが開くので[実行]で進めます。
次に、アイテムコード「OSC_TADUKURI」の工番20 のデータの実績を登録します。
各工程の最終工程のデータの実績データを登録すると、[工程元実績パネル]が開くので[実行]で進めます。
他の計画の実績登録も同様の手順で行います。
各種具材→冷凍おせち(盛付)→冷凍おせち三段重の順で実績を登録します。
[ロット別在庫一覧]からOSCの在庫が増えて材料の在庫が減っていることが確認できます。
また、使用期限日の確認もできます。
履歴確認
[製造履歴管理]から下記のt順で履歴データの取り込みを行います。
- [履歴データ取込]ボタンを押す
- 取込開始日は空白でOKボタンを押す
- その後の確認メッセージもOKボタンを押す
取り込み後、[履歴ツリー表示]から注番“WW0001”を選択して[正展開]で“冷凍おせち”の製造で使用された具材や材料のロットが確認できます。
製造履歴表では製品からでなく材料のロットから使用された製品のロットを確認することもできます。
[履歴ツリー表示]から「取込対象」を「引当て注番」に切り替え注番“XX0001”を選択して[逆展開ボタンをクリックすると、
注番“XX0001”で納入された大根を使用して作られた具材やおせちが確認できます。
進め方のヒント
■マスターについて
- 各具材の詳細工程に冷凍工程(急速冷凍)を追加してみる
- 製造担当毎に複数の具材を分担して調理するのではなく、一つの製造担当で複数の具材を生産場所を分けて調理するように変更してみる
- 調味料もアイテムに含めてみる
- 使用期限区分を“サプライヤーの期限” に設定してみる
- 製品の種類を増やしてみる 二段重のおせちや一段重のおせち
■計画や実績について
- 見込み生産の例なので、受注を登録して出荷する (受注販売管理OPTが必要)