この資料は、
TPiCSの基礎講座や、研修会を受講され、基本的な操作方法やおおよその機能をご理解いただいた方に、その先の“ものづくり”の視点から、アイテム構成の要点を捉えて、マスター構築のヒントにしていただくためのものです。
今回は、製品の故障や定期メンテナンスを行う業務でTPiCSを使用したマスターサンプルとして取り上げました。一般的には量産の製造部門と修理業務の部品手配を分けていることが多いですが、TPiCSでは、材料や部品をfMRPによる基準在庫で計画を管理すると、量産見込みの部品手配と修理業務からの製番で紐づけた突発的な部品使用の両立ができます。修理・定期メンテナンスは、診断、修理組立、検査の作業工程は決まっているため、これを元に製番管理を使用しています。
修理作業が毎回同じ手順で進み、診断・修理・組立・検査を行いながら、材料の交換などで対応できる場合は、製番管理による運用が適しています。
一方、構成部品が多く、分解後に全体の修理工程や必要な部品を決定する必要がある場合や、製品によってはすでに量産が終了し、必要な材料の入手が困難で設計から対応しなければならない場合などは、一品生産管理オプションを活用し、設計のスケジュール管理や新規購入の部品を見積を出しながら管理していく方法が有効です。
生産のポイント
これは、架空の生産管理ポイントです。
- 製品は継続生産している業務用ドローン。
- 部品・材料には作業不良、材料不良を考慮した在庫が可能。”基準在庫設定”
- 故障の修理依頼・定期メンテナンスは診断によって交換部品が判明する。
- 製品の量産生産計画の部品材料手配
- 修理費は交換した部品・作業から請求金額を求める。
- 修理で必ず交換する材料があり、予め構成表に登録できる。
- パーツが揃ったら組立てし、検査合格にで修理完了。
- 検査不合格の場合は、分解し2次診断、部品交換、再組立て、2次検査を記録する。
- 不具合箇所が特定できない場合は診断、組立て、検査を繰り返す。
目次
1.修理・定期メンテナンス業務の流れ

修理・定期メンテナンス業務の構成イメージ


使用しているシステム、オプション
CSVデータは、アイテム件数を50件以内に抑えており、デモ版でお試しいただけます。
50件を超えて使用する場合は、以下のオプションが必要となります。
- f-MRP製番管理システム
- 受注販売管理オプション
量産製造の構成(修理・定期メンテナンス業務の参考)
こちらもCSVデータに含まれています。

2. ドローン修理の生産管理を再現する操作手順
(1) データの読込みとマスターの構成ツリー確認及び準備作業
- 定形処理のテキストファイルを読み込み、マスターを読込ます。
読込むファイル:
TXBAIK.csv
TXCALE.csv
TXCUST.csv
TXHEAD.csv
TXITEM.csv
TXJIKA.csv
TXKOUT.csv
TXPAYM.csv
TXPRTS.csv
TXSECT.csv
TXTANK.csv
TXWMAN.csv
TXWORK.csv
TXZAIK.csv - アイテムマスターの構成ツリーで、アイテムや製品構成を確認します。
- 生産計画表の右クリックメニューで、起点レコードの全レコード作成します。
(2) 修理品の受注入力をする
[受注データ入力]フォームから受注入力を行います。
画面上のシステム日付は2030年4月1日になっていますが、実際のシステム日付は本日の日付でも問題ありません。
- 製番処理は「製番引当て後、不足数作成(自動展開)」を選択します。
- アイテムコード「DRONE-S」 を入力します。
- 得意先「T00 東京商事株式会社」 を入力します。
- 指定納期日「2030/04/10」 を入力します。
- 受注数量「1」 を入力します。

(3) 製番展開と所要量計算を行う
[生産計画表(所要量計算)]フォームを開きます。
診断のための作業指示を発行し、修理時に必ず交換する材料の引当処理を行うため、所要量計算を実施します。
- [所要量計算]ボタンを押します。


[所要量計算]ボタンを押すと、所要量計算パネルが表示されます。
- 「所要量計算時、製番展開を行う」にチェックを入れます。
- [実行]ボタンを押します。
製番展開が完了した後、所要量計算が実行されます。
製番展開が完了したら、f-MRPのアイテムにも引当が入っていることを確認し、計画明細の作成を行います。
- [計画明細作成]ボタンを押します。
基準在庫により在庫があるため、[計画明細作成]ボタンを押しても計画明細は作成されません。

(4) 修理品の全体スケジュールを確認する
製番明細ガントチャートを開き、全体のスケジュールを把握します。

(5) 作業指示書を発行し、一次診断を指示する
[作業指図書発行]フォームを開きます。
一次診断や一次修理組立などの作業指図書を印刷します。
- [印刷]ボタンを押します。

(6) 一次診断が終わり生産実績入力を行う
[生産実績入力]フォームを開きます。
一次診断と材料の追加処理が完了したら、一次診断の実績入力を行います。
- 想定していた時間より早く診断処理が終わった前提で、WW0004を選択します。
- 実績時間を「16時間」から「4時間」に変更します。
- 合計時間も「4時間」に変更されたことを確認し、[登録]ボタンを押します。

(7) 一時診断結果の部品追加が必要になった
一次診断の結果、モーター2個を交換することになり、一次修理組立の子アイテムとして引落明細に追加します。
子アイテムの追加は引落明細データ手入力から行います。
この部品は量産にも使用されるため基準在庫が設定されており、在庫があることを前提としています。
在庫がない場合は引落明細データを追加し、所要量計算を行うことで不足分の計画が立案されます。

(8) 追加部品を引落明細に追加する
[計画業務] - [引落明細データ手入力]を開き、子アイテムを追加します。
一次診断・Oリング・プロペラなどと同様に、親注番WW0003の子アイテムとして追加します。
- サイドメニューの[子アイテム追加]ボタンを押します。
- 注番フィールドの三点リーダーをクリックし、計画明細データ検索パネルを表示させます。
- アイテムコード「ASSEMBL 一次修理組立」のWW0003をセットします。

- [子アイテム選択]ボタンを押します。
- [アイテムマスター]ボタンが表示されるので押します。
- 検索パネルが表示されます。
- 追加するアイテム「MOTOR2205」を2個追加します。
- 検索入力エリアに「MOTO」と入力することで、先頭一致でアイテムを探すことも可能です。
- 「MOTOR2205」を選択したら、[適用]ボタンを押します。

- 計画数量に「2」をセットします。
- 純引落計画数量に「2」をセットします。
- 設定が完了したら、[登録]ボタンを押します。

(9) 一次修理組立が終わり生産実績入力を行う
一次修理組立の実績入力を行います。
一次修理組立に一次診断で追加したアイテム「MOTOR2205」が2個引落されるか確認しながら実績を入力します。
- 「WW0003 一次修理組立」を選択します。
- [引落し設定]ボタンを押し、「引落元指定パネルを開く」にチェックを入れます。
- [生産実績入力]フォームを閉じるまで、「引落元指定パネルを開く」が有効になります。
- 実績時間は1時間で完了したので、4時間を1時間に変更します。
- 入力が完了したら、[登録]ボタンを押します。

- [引落し元指定]パネルが表示されたら、一次診断で追加したアイテム「MOTOR2205」が2個追加されていることを確認します。
- 確認後、[実行]ボタンを押します。

(10) 一次検査が終わり生産実績入力を行う
一次検査の実績入力を行います。
- 「WW0002 一次検査」を選択します。
- [登録]ボタンを押します。

(11) 一次検査で不良判定され、二次診断・二次修理組立・二次検査が必要になった
一次修理組立後に一次検査を行い正常に動作しなかったため、二次診断が必要となりました。
二次診断、二次修理組立、二次検査の作業指示書を作成します。
指示書は作成は、製番計画作成の画面からおこないます。

(12) 追加部品を製番計画作成で追加する
[計画業務]-[製番計画作成]フォームを開きます。
- 製番 RR0001を選択し[製番明細データ] タブシートを選択します。

- 製番構成ツリーの[編集する]にチェックをします。
- [マスター]ボタンを押します。
- [検索]パネルから「INSPECTION2 二次検査」を選択します。
- 検索入力エリアに「INS」と入力することで、先頭一致でアイテムを探すことも可能です。
- 「INSPECTION2 二次検査」を「DRONE-S ドローン修理」にドラッグ&ドロップします。


[子アイテム追加]パネルが表示されるので使用数量を入力します。
- 使用数量に「1」を入力します。
- [OK]ボタンを押します。
[製番構成ツリー]パネル上の「DRONE-S ドローン修理」の子アイテムとして「INSPECTION2 二次検査」が追加されているのを確認します。

「INSPECTION2 二次検査」を追加することで「ASSEMBLY2 二次修理組立」と「DISGNOSIS2 二次診断」も追加されているのを確認します。
- 「INSPECTION2 二次検査」をクリックします。
「ASSEMBLY2 二次修理組立」と「DISGNOSIS2 二次診断」が子アイテムとして表示されます。

(13) 二次診断・二次修理組立・二次検査の診断書を印刷
二次診断・二次修理組立・二次検査の診断書を印刷します。
- [印刷]ボタンを押します。

(14) 二次診断の実績入力を行う
二次診断が終了したら実績入力を行います。
- 想定していた時間より早く診断処理が終わった前提で、WW0007を選択します。
- 実績時間を「16時間」から「1時間」に変更します。
- 合計時間も「1時間」に変更されたのを確認し[登録]ボタンを押します。

(15) 二次診断結果の追加部品を追加する
二次診断の結果、部品交換が必要となり、バッテリー(BATTERY)が必要であることが判明しました。
引落明細にバッテリーを追加するため、以下の手順で進めます。
- サイドメニューの[子アイテム追加]ボタンを押します。
- 注番フィールドの三点リーダーをクリックし、計画明細データ検索パネルを表示させます。
- アイテムコード「DISGNOSIS2 二次診断」のWW0006をセットします。
- [子アイテム選択]ボタンを押します。
- 検索パネルが表示されるので、追加したいアイテム「BATTERY」を1個選択します。
- 「BATTERY」を選択したら、[適用]ボタンを押します。

- 計画数量に「1」をセットします。
- 純引落計画数量にも「1」をセットします。
- 設定が完了したら、[登録]ボタンを押します。

(16) 二次修理組立が終わり生産実績入力を行う
[生産実績入力]フォームを開く。
バッテリー交換が完了したので二次修理組立の実績入力を行います。
- 「WW0006 二次修理組立」を選択します。
- 実績時間は1時間で完了したので4時間を1時間に変更します。
- 入力が完了したら、[登録]ボタンを押します。

(17) 二次検査が終わり生産実績入力を行う
二次検査でも問題がないことが確認された二次検査の実績入力を行います。
- 「WW0005 二次検査」を選択します。
- 実績時間は0.5時間で完了したので1時間を0.5時間に変更します。
- 入力が完了したら、[登録]ボタンを押します。

(18) 二次修理組立が終わり生産実績入力を行う
修理品梱包後にドローン修理の実績入力を行います。
- 「WW0001 ドローン修理」を選択します。
- 実績時間は0.2時間で完了したので1時間を0.2時間に変更します。
- 入力が完了したら、[登録]ボタンを押します。

(19) 修理にかかった原価を確認する
[原価管理] - [製番原価明細]フォームを開きます。
修理にかかった原価を確認できます。
- 製番入力フィールドに該当する製番を入力します。
- [製番]ボタンを押して、該当する修理の情報を表示させます。
- 実績の総合計欄で、修理にかかった原価金額を確認します。

(20) 出荷指示書を印刷する
[出荷業務]-[出荷指示書発行]フォームを開きます。
出荷指示書を印刷します。
- [出荷日指定エリア]に「2030/04/10」を指定します。
- グリッドに出荷したいデータが表示されていることを確認します。
- 確認後、[印刷]ボタンを押して、出荷に必要な書類を印刷します。

(21) 出荷実績を実績入力する
[出荷実績入力]フォームを開きます。
- 売上単価に「10万円」をセットします。
- [登録]ボタンを押して、出荷実績を入力します。
これで、売上単価が反映された出荷実績が登録されます。

出荷元指定パネルが表示されたら、引当て注番が正しいことを確認します。
- [登録]ボタンを押す。

3.進め方のヒント
-
受注登録からプロジェクト計画を作成します。
- 受注情報を登録し、その後プロジェクト計画を作成します。
-
定形パターンを使って構成表がない運用を試す
- 定形パターンを使って、構成表なしで運用を進めます。これにより、柔軟な運用が可能になります。
-
診断が終わった後、見積管理オプションから見積書を作成
- 診断結果に基づいて、見積管理オプションを使用して見積書を作成します。
- 見積書を生成することで、修理品の見積もり金額を確認することができます。
この手順で、修理品に関連するオプションを使った操作を実践できます。